コインパーキングに車を停めるとフラップ板が上がる、交差点や駐車場の出入口で、車が通ると信号が変わったりゲートが開いたりする。そんな日常の裏側には、地中に埋められた「知恵」が静かに働いています。その名も「ループコイル式車両検知器」。目に見えないこの装置が、どのように車両を検知しているのか、ご存じでしょうか。
しくみは「磁界の変化」を読むこと
ループコイル式車両検知器は、地面に埋め込まれた導線(ループコイル)に微弱な電流を流し、周囲に磁界を発生させています。そこに金属製の車両が近づくと、磁界が乱れ、コイルのインダクタンス(電磁的な性質)が変化します。この変化を検知器が読み取り、「車が来た」と判断するのです。(ループコイルによる車両検知の仕組みについてはこちらで図を使って、もう少し詳しく説明しております)
この方式は、赤外線や超音波とは異なり、天候や光に左右されにくく、誤検知が少ないのが特徴です。
この方式は、赤外線や超音波とは異なり、天候や光に左右されにくく、誤検知が少ないのが特徴です。

設置は「見えない精度」が問われる
ループコイルはアスファルトやコンクリートの下に埋設され、形状や深さ、巻き数などが設計に大きく影響します。例えば、交差点では車両の進入方向や停止位置を考慮してコイルを配置し、誤検知や検知漏れを防ぎます。
施工時には、鉄筋の影響やノイズ対策も重要。見えない場所だからこそ、設計と施工の精度が問われるのです。
応用は「交通の知能化」へ
近年では、ループコイル式検知器に逆走検知や交通量計測の機能を追加する事例も増えています。さらに、カメラやAIと連携することで、ナンバープレート認識や車種判別など、より高度な交通制御が可能になりつつあります。
スマートシティの一部として、地中のループコイルが都市の「神経」として働く未来も、そう遠くないかもしれません。
地味だけど、確かな技術
ループコイル式車両検知器は、派手さこそありませんが、長年にわたり交通の安全と効率を支えてきた縁の下の力持ちです。地中に埋められたその知恵は、今も静かに、そして確実に、私たちの暮らしを見守っています。